特別講演・パネルセッションの詳細
特別講演
13:40〜14:00
村上輝康氏(産業戦略研究所 代表/JST RISTEX S3FIRE 総括補佐)
『いかにサービス学は日本産業に貢献するか』
- 講演者プロフィール
1968年 野村総合研究所入社。社会システム研究部長、技術戦略研究部長、研究理事を経て、96年取締役新社会システム事業本部長。97年常務、2000年専務、2001年代表取締役専務を経て、2002年、理事長、2008年シニア・フェロー。同年、ベネッセホールディングス社外取締役。2012年4月より産業戦略研究所代表。
2007年よりサービス産業生産性協議会副代表幹事。2010年より科学技術振興機構・問題解決型サービス科学研究開発プログラムアドバイザー(2013年よりプログラム総括補佐)。サービス工学推進委員会、日本を元気にする産業技術会議委員を歴任。
情報学博士(京都大学)、公共国際問題修士(ピッツバーグ大学)、経済学士(京都大学)。日本学術会議連携会員2006-2012(情報学)。慶應義塾大学総合政策学部特別招聘教授(2006-2010)、著(共著)書に「知識サービスマネジメント」「ユビキタスネットワーク」「産業創発」「創造の戦略(英、西、韓語)」「サービス産業のグローバル化」等。
- 講演要旨
モノづくりの国と永く自己規定してきた日本産業には、グッズドミナントな製造業だけでなく、グッズドミナントなサービス業も溢れている。GDPの7割を占めるサービス産業の革新にとどまらず、製造業や農業も含めて、日本産業全体が、いかにサービスドミナントな産業に変わっていくかが、今後の日本経済の命運を握っている。
大学におけるサービスへの取組みの強化、サービス工学の確立、サービスサイエンス研究開発の定着と進んできた、アカデミックコミュニティにおけるサービスイノベーションへの取組みは、サービス学会の設立により新たな段階に入ろうとしている。
サービス学会は、(1)サービスドミナントな産業パラダイムの定着、(2)サービスの構造の多様な側面におけるイノベーションツールの提供、(3)サービスイノベーション活動の評価手法の確立等の経路を通じて、日本産業の革新に大きな貢献ができる。ただ、そのためには、サービス学を、さらに「サービステクノロジー」へと発展させていく推力が不可欠である。
14:00〜14:45
若林直樹氏(京都大学経営管理大学院 教授)
『サービス経営学における顧客経験マネジメントの新たな組織的課題』
- 講演者プロフィール
現在は京都大学経営管理大学院教授(組織行動論)。学位は、社会学修士(東京大学)。経済学博士(京都大学)。専門分野は、組織論、ネットワーク組織論。現在は、創造産業における提携関係のネットワーク理論的な分析や、産業クラスターにおける研究開発に関わる組織間ネットワークの国際比較研究を行っている。主なフィールドは、映像産業での製作委員会における提携分析やバウンダリレス・キャリアの分析、産業クラスターでの共同特許ネットワークの分析。主な著書は、 若林直樹、2009、『ネットワーク組織』有斐閣や、Wakabayashi,N. et al. ,2009,“ Japanese Networks for Top-Performing Films: Repeated Teams Preserve Uniqueness,” Journal of Media Business Studies, Vol. 6, No. 3.がある。
- 講演要旨
サービス経営学においては、現在、顧客志向マネジメントや顧客のコラボレーションを確立、発展させることが、重要視されている。そこでは、競争優位を持ったり、差別化を図ったりするのには、独創的な「顧客経験」をもたらすサービスとそのビジネスモデルを開発することが重要視されている。現代のサービスを供給する組織には、自らの顧客が期待している新たな経験を協働しながら、分析、開発、供給、改善していく独自のメカニズムが求められている。その特徴について、現代のサービス組織論の主要なコンセプトである新たな顧客経験を生み出す「組織ルーティン」、「ホスピタリティの協働創造」、「組織的な感情のマネジメント」、そして「組織的な創造性の活性化」の観点から考えてみたい。
14:50〜15:35
茅田泰三氏(コマツ顧問前専務執行役員中国総代表)
『コマツは新興国、特に中国においてサービス展開を如何に進化させてきたか』
- 講演者プロフィール
生年月日:1942年5月2日
学歴:1972年3月 大阪外国語大学 中国語科卒業
1972年4月 コマツ入社
1985年4月 北京事務所長
1994年6月 コマツシンガポール(有)(現コマツアジア) 副社長
2001年2月 小松(中国)投資有限公司 総経理
2001年6月 小松(中国)投資有限公司 董事長
2002年6月 執行役員 建機マーケティング本部海外営業本部長
2007年4月 常務執行役員 建機マーケティング本部海外営業本部長
2009年10月 常務執行役員 中国総代表 兼 小松(中国)投資有限公司董事長
2010年4月 専務執行役員 中国総代表 兼 小松(中国)投資有限公司董事長
2012年6月 顧問
2012年9月 中央大学大学院戦略経営研究科客員教授 現在に至る
受賞歴
2011年9月(上海市)白玉蘭記念賞 受賞
- 講演要旨
- 新興国も含めてグローバルに50年以上の年月を費やして地道にサービス体制を築いてきたコマツは、今世紀に入り特に中国において顧客、代理店との間でWin-win-winの関係を築きあげる事に格闘をしてきた。
- 中国におけるサービス展開の進化は現地における現実、必要が生んだものであるがそれとコマツのグローバル戦略は不可分である。又、中国で磨きをかけてきたサービス力は他地域でも通用するのか?
- コマツの現場での奮闘のプロセスから中国を判断するきっかけにもしていただきたい。
パネルセッション『サービス研究は日本経済を復活させるか』
10年後に先進国と発展途上国とのGDPが逆転するグローバル社会の転換期において、個々人が幸せで持続・発展的な社会を形成することは、我が国において必要かつ重要な課題であります。製造業では、品質の良い「ものづくり」で グローバル市場をリードし、発展途上国との関係においても、生産拠点として良好な関係を構築してきました。しかしながら、急激に価値が毀損するコモディティ化の波にさらされ、グローバル市場における環境も一層厳しさが増大しています。また、サービス業では、GDP比率も70%を超え、増加の一途をたどっているものの、雇用を確保しつつ、生産性向上をはかる施策に対しては、いまだ発展途上の段階であります。
このような状況を鑑み、本パネル討論では、持続・発展的な経済成長に役立つサービス学の研究のありかたについて議論をいたします。製造業のサービス化、サービス業の高付加価値化、高等教育のありかたを中心に、育成すべき人材像、人材育成のありかた、望ましいビジネスモデル、役立つサービス研究、組織連携などのテーマについて討議いたします。
原 良憲氏(京都大学経営管理大学院 教授)*パネル討論コーディネータ
1958年生まれ。1981年東京大学工学部電子工学科卒業。1983年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。2005年京都大学博士(情報学)。1983年日本電気株式会社入社以来、日米の研究拠点にて、Web・メディア情報管理などの研究・事業開発に従事。 スタンフォード大学客員研究員、NEC北米研究所(シリコンバレー) Department Headなどを経て、2006年 京都大学経営管理大学院 教授(現職)。京都ビジネスリサーチセンター 代表理事、京都大学経営管理大学院附属経営研究センター長(2010年~2012年)、「サービス価値創造プログラム」 プログラム長(2010年4月~2013年3月)、 「関西サービス・イノベーション創造会議」座長などを務める。
茅田泰三氏(コマツ顧問前専務執行役員中国総代表)*パネリスト
生年月日:1942年5月2日
学歴:1972年3月 大阪外国語大学 中国語科卒業
1972年4月 コマツ入社
1985年4月 北京事務所長
1994年6月 コマツシンガポール(有)(現コマツアジア) 副社長
2001年2月 小松(中国)投資有限公司 総経理
2001年6月 小松(中国)投資有限公司 董事長
2002年6月 執行役員 建機マーケティング本部海外営業本部長
2007年4月 常務執行役員 建機マーケティング本部海外営業本部長
2009年10月 常務執行役員 中国総代表 兼 小松(中国)投資有限公司董事長
2010年4月 専務執行役員 中国総代表 兼 小松(中国)投資有限公司董事長
2012年6月 顧問
2012年9月 中央大学大学院戦略経営研究科客員教授 現在に至る
受賞歴
2011年9月(上海市)白玉蘭記念賞 受賞
横山健一郎氏(ハイアット・リージェンシー京都総支配人)*パネリスト
明治学院大学卒。国内外のホテルにて経験を重ね、宿泊部長・ 副総支配人としてパークハイアット 東京の運営に携わった後、パーク ハイアット シドニー宿泊部長・副総支配人、ハイアット リージェンシー 大阪 総支配人を経て、2005年より現職。
山本昭二氏(関西学院大学副学長)*パネリスト
関西学院大学商学部卒
神戸大学大学院経営学研究科修了 博士(商学)
デューク大学経営大学院客員研究員
関西学院大学商学部教授を経て2005年より大学院経営戦略研究科教授
著書:サービス・クォリティ、サービス・マーケティング入門など
メッセージ:消費者から見た製品の価値が仕様や性能といった分かりやすいものから感情に訴えるものに変わってきていると言われています。確かに人間の提供するサービスの様に数値で表しにくいものもありますが、消費者は治癒率や就職率など分かりやすい成果にも敏感です。また、組織と市場が融合している多くのサービス提供システムでは、そのオペレーションの改善に時間が掛かる場合があります。技術革新を取り入れて市場との関係を変化させるためには人材育成とマーケティングの整合性が一層求められるようになっています。
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