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国内大会:オーガナイズドセッション
2018年度サービス学会 第6回 国内大会(開催日:2018年3月10日〜11日)
オーガナイズドセッション(OS)担当先生へのインタビュー(3)
AI時代における地域での観光情報サービス開発とその課題
オーガナイザー:
笠原 秀一@京都大学学術情報メディアセンター
先生、よろしくお願いします。今回のテーマ[AI時代における地域での観光情報サービス開発とその課題]は、どのようなものかを簡単に教えていただけますでしょうか。
観光産業は宿泊・小売など、観光地で活動する多数の比較的小規模な企業と、鉄道・航空など少数の大企業で成り立っています。観光事業者は旅行者の様々なニーズや予算制約に合わせて差別化したサービスを提供していて、旅行者も予算や嗜好に合わせてサービスを選べることに慣れています。例えばホテルは格安のゲストハウスから一泊十数万を超える高級旅館まで様々な選択肢がありますね。体験ツアーも、2時間程度で回れるお手軽な個人ツアーから、花街で舞妓さんのもてなしを楽しむ高価なツアーなど様々です。
ところが、スマートフォンを主な起点にサービスを提供する情報サービス産業は、少数の企業が画一的なサービスを全世界に対して提供するスタイルが主流となっています。GoogleやAmazonなどデータジャイアントといわれる企業が情報サービス産業の主なプレイヤーです。特にAIを中心とした情報技術の開発は、サービスを通じて膨大なデータを蓄積しているデータジャイアント企業群が牽引しているといっても過言ではありません。
観光産業でも情報サービスに対するニーズは増加する一方で、AI技術の急速な進歩と世界的な観光需要の増大に伴って、観光情報サービスは従来のウェブベースのe-tourismから、よりパーソナライズかつリアルタイム化したSmart Tourismに変貌しつつあるのです。しかし、産業構造からみると、情報サービス産業と観光業はだいぶ違っていますので、データジャイアント企業は観光地における旅行者の多様な情報ニーズには応じきれないのではないかと考えられます。それゆえ、それぞれの観光地が旅行者のニーズを満たすには、Smart Tourismサービスを地域発で提供できる仕組みが重要となってきます。本セッションでは、地域における観光情報サービス開発の課題と解決策について、IoTなどデータ収集と流通の視点を含めて議論することにしています。
ありがとうございます。どんな人が参加されるのでしょう。私のような素人でも聞いてわかるものでしょうか。
発表者は情報学および観光情報学の研究者が中心となっていますが、経営学や経済学を専攻した研究者も含まれています。観光は誰もが経験したことのあるものですので、比較的なじみ深いテーマと考えています。
わかりました。補足説明や参加希望される方にメッセージなどをお願いします。
リアルタイム混雑予測や災害時の避難誘導といったSmartTourismサービスの利用者は、単に旅行者にかぎらず自治体、DMO(ディスティネーションマネジメントオーガニゼーション)、地域住民も含んでおり、ユーザも含めたステークホルダは地域社会全体に広がっています。また、サービス事業者が収集したデータをいかに地域に還元し、地域全体として生活や交通の最適化を進めるかという視点も重要です。こうした視点からは、要素技術開発を行う情報学という切り口だけでは不十分であり、サービス学や社会学、経営学、交通工学、行政学の研究者も含めた総合的な知見に基づいて議論したいと考えています。
本日はありがとうございました。
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